歩行が困難になり、歩行訓練のために介護老人保健施設に高齢の母が入所していた時、施設から母が38度の熱と腹痛のため、母の居住している市の市民病院に受診に行くので、至急病院まで保険証を持って来てほしいとの連絡が入りました。

母の住む実家から我が家はそれほど遠くなく、すぐに病院に駆けつけ、付き添ってくれていた施設の看護師さんからバトンタッチしました。

検査の結果、白血球ともう1つの数値が異常に高く、消化管穿孔だろうと言う見立てで、即入院になりました。普通、消化管穿孔の場合、胃や小腸や大腸のどこかに穴が開き、そこから内容物が漏れて腹腔内で炎症を起こしているため、色々な検査や開腹により、その穴を見つけて処置しなければ死に至る為、即手術と言ったケースが一般的だとの説明でした。

しかし、母は90歳近い高齢であったため、手術に耐えられないだろうと言う事から、抗生物質で炎症を抑える事しかできず、死を覚悟して欲しいと医師から説明がありました。

そんな宣告を受けた母でしたが、1か月ほどで回復し、退院する事ができました。退院時には、医師からどこかに開いていた穴がかさぶたの様になって奇跡的に塞がれた結果、回復したのだろうとの説明でした。

後日、有名な大学病院の消化器内科の医師を長く務めた友人に話したところ、かさぶた様のもので穴がふさがる事など考えられず、血液の炎症を示す数値が極端に上がる原因は穿孔以外に色々と考えられ、それは誤診だと言う説明でした。そしてその友人は、結果オーライの誤診だったのだから、良かったと言えるけれどねと付け加えました。

超高齢者相手で、施せる検査や治療が限られる中、そうした誤診は仕方なく、医師を攻める気持ちは全くありません。ただ、かさぶた様のもので穴が塞がったという説明は、自分の見たてを否定したくなかったゆえの強弁だったのだろうと、この点は少し納得できない気持ちもしたものです。